「日本におけるフリーランスの現状とは?」「フリーランスの働き方を実現するために改善すべき課題とは?」と疑問をお持ちの方に向けて、日本におけるフリーランスの現状と課題を解説します。
フリーランス大国と呼ばれるアメリカと比較すると、日本にはどれくらいのフリーランスが存在するのでしょうか?アメリカにおけるフリーランスの実態と比較しながら、日本の現状を確認していきましょう。
日本とアメリカにおけるフリーランスの現状
日本:フリーランス人口は1,670万人
ランサーズの行った「フリーランス実態調査 2021」※1によると、2018年時点で日本のフリーランス人口は1,151万人でしたが、2021年には1,670万人となっています。3年間で500万人以上増加したことになり、フリーランスは労働人口のうち24%を占めることが分かりました。将来的にもフリーランス人口は拡大していくことが予想されています。
また、フリーランス人口の増加に伴って経済規模は28兆円にまで拡大しました。昨年から約10兆円増加したことになり、過去最高の経済規模になっています。
フリーランス人口が急激に増加した背景として、新型コロナウイルスによる影響が一因に挙げられるでしょう。感染拡大防止のためにテレワークが普及したことで、柔軟な働き方が受容されやすくなったためです。
参照(※1):フリーランス実態調査 2021
アメリカ:フリーランス人口は5,700万人
前章で紹介した調査※1によると、2018年時点でアメリカのフリーランス人口は5,670万人で、2021年には5,700万人となっています。フリーランスは労働人口のうち35%を占めており、日本よりもフリーランスの割合が大きいことが明らかになりました。
アメリカは終身雇用制の文化がなく、実力社会となっています。また、専門性を活かした働き方が推進されており、フリーランスのための環境整備が進んでいるのが特徴的です。
日本には終身雇用制が慣習的に浸透していましたが、近年は働き方が多様化しています。そのため、将来的にはアメリカのようにフリーランスのための環境が整備されていくでしょう。
日本におけるフリーランスの将来性
経済産業省は雇用関係によらない働き方を推進しています。少子高齢化が進むにつれて、労働人口の減少が懸念されているためです。多様な働き方を促進することで、労働力不足をカバーしようと考えています。
フリーランスも雇用関係によらない働き方の一種として推進されており、将来的にフリーランス人口が拡大していくことが予想されます。従って、フリーランスが働きやすい制度が整っていくでしょう。
現時点では、年金制度や福利厚生、教育制度など、フリーランスが働きやすい環境は整っているとは言えません。そのため、課題改善に向けて、フリーランスという働き方への理解を推進するとともに、環境を整えていくことが大切です。
日本におけるフリーランスの課題
課題1:人材育成システムの在り方
従来は、企業が中心になって社員に対する教育を行ってきましたが、フリーランスとして独立する人が増加することを考慮すると、人材育成システムの見直しが必要といえるでしょう。
能力やスキルアップの機会が与えられずに、個人に依拠するシステムだと、会社員とフリーランスの間に能力における差が生じる可能性があります。
能力やスキルに差が生じてしまうと、収入格差にもつながり、雇用関係によらない働き方の普及を実現できません。そのため、企業に属さない労働者に対して、どのような支援制度を整えるかが重要な課題として捉えられています。
課題2:労働法制の在り方
現時点では、フリーランスには労働関係法令が適用されていません。そのため、好きな時間と場所で働ける自由なワークスタイルを実現できます。
一方で、フリーランスに対してどのような保護を行っていくかが問題視されています。契約法制による担保の在り方や、公平な市場ルールの整備方法を考えていく必要性があるのです。
また、フリーランスの労働時間が定められていないため、フリーランスの中には十分な休養を取らずに、オーバーワークしてしまう人も存在します。収入が安定しにくいフリーランスの働き方に不安を感じ、仕事を受けられるだけ受けてしまうということも原因の一つに挙げられるでしょう。
課題3:社会保険料の負担の在り方
現在の日本における社会保険料の負担の在り方は、労働者が企業で働いていることを前提としています。働き方が多様化していくことを考慮すると、企業に属さない労働者にとって不利にならない社会保障制度を整備することが重要です。
例えば、会社員の場合は社会保険料は会社にも負担してもらえますが、フリーランスの場合は社会保険料の全額を個人が負担することになります。
さらに、年金制度についても、会社員は国民年金と厚生年金の二重構造が採用されているのに対して、フリーランスは国民年金のみとなっています。
課題4:多様な働き方を促進するための取り組み
会社員と比較すると、フリーランスの社会的信用は依然として低いといえるでしょう。収入が安定しにくく、自由な働き方をしているフリーランスは、まだ世間から受け入れられているとはいえません。
そのため、どのような取り組みを政府として行っていくのか、企業とどのように連携していくのかが課題として捉えられています。
フリーランスという働き方を促進するには、まず人材育成システムや労働法制、社会保険料などの整備を行って、フリーランスが安心して働ける環境を築いていくことが大切です。
まとめ
今回の記事では「日本におけるフリーランスの課題とは?」「海外と比較した時の日本のフリーランスの現状とは?」と疑問をお持ちの方に向けて、フリーランスの現状と課題について解説しました。
新型コロナウイルスの感染拡大対策として、テレワークが普及したことにより、多くの労働者の中で働き方が見直されました。そのため、フリーランス人口は増加傾向にあり、将来的にも拡大していくことが予想されます。
多様な働き方を推進するためには、人材育成システムの在り方や労働法制の在り方、社会保険料の負担の在り方などの課題改善が必要です。取り組みを強化することで、フリーランスが働きやすい環境を整えることができます。