働き方が多様化するのに伴って注目を集めている働き方のフリーランス。近年は、会社員からフリーランスに転身する人や、フリーランスとして副業をスタートする人が多く見受けられるようになりました。
しかし、業務ベースで働くフリーランスは弱い立場に置かれやすく、クライアント企業から不当な扱いを受けることも少なくありません。これからフリーランスを目指すという方は、雇用によらないワークスタイルを実現するためにフリーランスの働き方を理解しておく必要があります。
本記事では、フリーランスの給与に関するトラブルを中心に扱います。この記事を読むことで、フリーランスの給与事情や、フリーランスが実際に経験したトラブルについて理解を深められるようになるので、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスの給与事情
本記事ではフリーランスの給与に関するトラブルについて扱いますが、そもそもフリーランスはどれくらいの給与を受け取っているのでしょうか?
内閣官房日本経済再生総合事務局が実施した調査※1によると、フリーランスの年収(主たる生計者が本業として行うフリーランスの年収)に関する質問で、「年収200万円以上300万円未満」と回答した人の割合が最も多く、全体の19%を占める結果となりました。
続いて、「年収100万円以上200万円未満」、「年収300万円以上400万円未満」と回答した人の割合が16%となっています。
フリーランスの中には、「1000万円以上」と回答する人も一定数見受けられることから、年収は仕事内容や個人の持つスキルによって左右されることが予想されます。
参照(※1):フリーランス実態調査結果
フリーランスの働き方におけるトラブルとは
フリーランスとして働いている人の中で、トラブルを経験したことがある人はどれくらい存在するのでしょうか?
先程紹介した調査※1によると、事業者から業務委託を受けて仕事を行うフリーランスを対象にしたトラブルに関する質問で、「トラブルを経験したことがある」と回答した人の割合が全体の37.7%を占めることがわかりました。
基本的に業務委託の場合、フリーランスはクライアント企業とインターネットを介してコンタクトを取ります。しかし、やり取りを行う上で、契約条件についてはっきりと説明されなかったなどの経験があるフリーランスも少なくありません。
もちろん、給与に関するトラブルを経験したフリーランスも多く見受けられました。次章で、フリーランスの給与に関するトラブルの詳細を確認していきましょう。
フリーランスの給与に関するトラブルの内容
給与や業務の内容が不明瞭
前章で紹介した調査※1によると、取引先とのトラブルの内容に関する質問で、「発注の時点で、報酬や業務の内容などが明示されなかった」と回答した人の割合が全体の37%を占めることが明らかになりました。
クライアント企業とやり取りをする際に、業務委託時や業務委託契約の締結時に給与に関しては提示されることがほとんどです。しかし、クライアント企業の中にはフリーランスに具体的な給与額を示さずに仕事を委託するところも見受けられます。
オンラインでのやり取りが中心になるフリーランスの場合、クライアント企業とフリーランスの関係性が希薄化しやすい傾向にあります。そのため、フリーランスに対する扱いが煩雑になってしまうことがあるのです。
もし、クライアント企業から具体的な給与額が提示されなかった場合、フリーランス側から働きかけるようにしましょう。
給与の遅延
同調査※1では、「報酬の支払が遅れた・期日に支払われなかった」と回答した人の割合が全体の28.8%という結果になりました。
契約時や業務委託時に提示された期日までに給与を受け取れなかったフリーランスが全体の3割を占めるということです。
給与の遅延が発生する要因として、クライアント企業のフリーランスをマネジメントする体制が整っていないことが考えられるでしょう。
中には、フリーランスマネジメントツールを使用して給与の管理を行なっている企業も見受けられるものの、システム上などの理由でプラットフォームに問題があった際に柔軟に対応できていないことが予想されます。
給与の減額
同調査※1によると、取引先とのトラブルの内容に関する質問で、「報酬の未払いや一方的な減額があった」と回答した人の割合が26.6%に及ぶことが明らかになりました。
非常に信じ難いですが、事前の通知なしに給与が減額されたという事態が起きているのです。何かしらの理由で減額の処置が生じるにしても、クライアント企業とフリーランス間における同意の元で処理を進める必要があります。
やはり、フリーランスは弱い立場に置かれてしまうケースがあるといえるでしょう。給与に関しては両者が納得した上で支払われる必要があるので、何かしらの問題が生じた際はクライアント企業に連絡を取るようにしましょう。
低い給与での契約
同調査※1では、「代金が低すぎるなど不利な条件での取引を求められた」と回答した人の割合が22.8%を占めることがわかりました。
クライアント企業が提示する案件によって単価は様々です。クライアント企業の中には、業務に見合わない低い給与で契約を結ぼうとするところも見受けられます。
特に「未経験可」などの募集の場合、フリーランスに支払われる給与が低くなる傾向にあるので注意しましょう。
給与の金額に関しては、フリーランスは自分のスキルや従事する業務に見合っているか判断する必要があります。もし、提示された給与が不当に感じたら、しっかりと報酬の交渉を行うことが大切です。
クライアント企業と平等な立場で働こう
フリーランスは雇用によらない働き方であるため、不利な立場に置かれてしまうことがあります。給与に関しても、トラブルを経験したことがあるフリーランスは少なくありません。
クライアント企業との間でトラブルが発生した際は、しっかりと不当に感じたことを主張し、状況改善に努めましょう。