「フリーランスの働く環境が重視され始めた背景は?」「フリーランスの働き方を実現するための課題とは?」と疑問をお持ちの方に向けて、フリーランスの働く環境について解説します。
フリーランス人口が急激に拡大している現在、フリーランスの働く環境が課題として捉えられています。
また、雇用によらない働き方の課題には具体的に何が挙げられるでしょうか?改善すべき課題についても説明しますので、ぜひ参考にしてみてください。
フリーランスの働く環境が重視され始めた理由
理由1:フリーランス人口が増加しているから
ランサーズが実施した「フリーランス実態調査 2021」※1によると、フリーランス人口は2018年から500万人以上増加していることが明らかになりました。フリーランス人口は2018年で1,151万人であったのに対し、2021年には1,670万人となっています。
フリーランスは労働人口のうち24%を占めており、将来的にもフリーランス人口は増加していくことが予想されます。
このようにフリーランスとして働く人が増加したことにより、フリーランスが働く環境が問題視されるようになりました。社会保障や年金制度などの環境が整っていないことが原因でフリーランスになることを諦めてしまう人も多く存在します。そのため、働き方の多様化が進む中で、フリーランスが働く環境が重要なのです。
参照(※1):フリーランス実態調査 2021
理由2:雇用によらない働き方を推進しているから
現在、政府は雇用によらない働き方を推進しています。少子高齢化が進む中で労働力不足が懸念されており、多様な働き方を促進することで労働力をカバーしようとしているためです。
実際に、2018年には「働き方改革を推進するための関係法律の整備に関する法律」が成立し、様々な取り組みが行われています。例えば、テレワークや時短勤務、フレックス勤務、副業などの促進などが挙げられるでしょう。
また、新型コロナウイルスの感染拡大対策として、テレワークを導入する企業が一気に増加し、働き方を見直す人が増加しています。そのため、多様な働き方を実践する人が増えていくのに備えて、働きやすい環境を整えることが重要です。
理由3:ガイドラインが策定されたから
2021年3月、内閣官房、公正取引委員会、中小企業庁、厚生労働省の連名で「フリーランスとして安心して働ける環境を整備するためのガイドライン」※2が策定されました。同ガイドラインは、事業者とフリーランスとの取引について問題行為を明確化するために作成され、フリーランスの働きやすい環境を整えることを目的としています。
ガイドラインが策定されたことで、「私的独占の禁止及び公正取引の確保に関する法律」や、「下請代金支払遅延等防止法」、「労働関係法令の適用関係」が明らかになりました。
そのため、ガイドラインに基づいてフリーランスを保護する取り組みが実施され始めています。
フリーランスの働き方における課題とは
課題1:人材育成システムの在り方
これまでの人材育成は、企業が中心になって行うのが一般的でしたが、フリーランスなど企業に属さない労働者が増えることを考えると、どのような人材育成システムを構築していくかが重要な課題です。
会社員とフリーランスの間でスキルアに差が生じると、収入の格差に繋がってしまい、フリーランスを目指す人が減ってしまう恐れがあります。
多様な働き方を実現するためには、フリーランスに向けたプログラムを用意するなどして、企業に属さない層に向けた人材育成システムを整備することが大切です。
課題2:社会保険制度の在り方
フリーランスの課題として、社会保険制度の改善が挙げられます。社会保険とは、健康保険、厚生年金保険、介護保険、雇用保険、労災保険の総称です。
健康保険に関して、会社員は会社が保険料の一部を負担するのに対して、フリーランスの場合は全額自分で負担する必要があります。
さらに、年金に関してはフリーランスと会社員で、将来受け取れる年金額に差が生じる可能性がある点が課題に挙げられるでしょう。会社員は国民年金と厚生年金が適用されるのに対して、フリーランスは国民年金のみになります。
そのため、将来の生活に対して不安を感じるフリーランスが多く存在し、社会保険制度の見直しが重要な課題として捉えられているのです。
課題3:労働法制の在り方
現時点では、フリーランスに労働関係法令は適用されません。そのため、自由な働き方を実現できている一方で、労働者としてどのような保護を受けられるかが課題として捉えられています。
例えば、契約法制による担保の在り方や、公平な市場ルールの整備方法などを明確にする必要があるでしょう。
また、副業をしているフリーランスに対して、企業はどの範囲まで保護するべきかが問題視されています。
まとめ
フリーランス人口は2018年から2021年で500万人以上増加しており、多様な働き方を促進するためにも、フリーランスの働く環境を整備する動きが見られています。
現在の課題として、人材育成システムや社会保険制度、労働法制などが挙げられます。これらの課題を改善して、雇用によらない働き方を目指すことが大切です。